特集 総排泄腔遺残症
発生学と分類
藤野 明浩
1
Akihiro Fujino
1
1慶應義塾大学医学部外科学(小児)
pp.1117-1120
発行日 2025年11月25日
Published Date 2025/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001362
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はじめに
総排泄腔遺残症(persistent cloaca)は,尿道,腟,直腸が合流して共通管を形成して会陰部に開口する女児の直腸肛門奇形(発生異常)の一病型であり(図1)1),小児外科医にとってもっともチャレンジングな疾患の一つである。病型はきわめて多彩であり,症例ごとに消化管,内外性器,尿路の三系統を解剖学的・機能的に十分に評価し理解を得たうえで治療に臨まねばならない。実際には,消化管,内外性器,尿路の三系統の出口付近の形成異常のみならず,骨盤内全体の形成異常,さらには3管の分離不全により生ずる炎症(水腟症など)も加わり,多くは根治術後も問題が継続する。腎機能障害や思春期になり出現する婦人科的問題などもあるため複数診療科チームによる長期フォローが必要である。現在では国の指定難病とされている(https://www.nanbyou.or.jp/entry/4588)1)。

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