特集 小児外科疾患の発生を考える
先天性気管狭窄,喉頭閉鎖症
辻 恵未
1
,
津川 二郎
1
,
尾藤 祐子
2
Emi Tsuji
1
,
Jiro Tsugawa
1
,
Yuko Bitoh
2
1愛仁会高槻病院小児外科
2神戸大学医学部附属病院小児外科
pp.790-797
発行日 2025年8月25日
Published Date 2025/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001273
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はじめに
本稿では先天性気管狭窄(congenital tracheal stenosis:CTS)と喉頭閉鎖症(laryngeal atresia:LA)の発生メカニズムを整理する。これらの病態は,気管や喉頭など各器官を個別に切り分けて考えるだけでは理解が難しい。喉頭・気管・気管支・肺・食道・胃を連続した発生系として捉えると,異常が生じる部位やその連続性,そして多彩な症候の背景がより鮮明になる。この統合的視点を示したのが,西島らが1993年に提唱した“lung-bud-foregut malformations(LBFM)”という概念である1)。LBFMは肺芽と前腸の形成異常を包括的に説明する枠組みで,発生学的背景を6つの要因に整理している。まずLBFMの要点を概説し,続いて①LBFMの枠組みのなかでのCTSとLAの位置づけ,②近年明らかになったCTS・LAの分子発生学的メカニズムの2つの観点から両疾患の発生を読み解く。

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