特集 女児生殖器・会陰部関連疾患のすべて
卵巣滑脱型鼠径ヘルニア
久山 寿子
1
,
曹 英樹
1
,
吉田 篤史
1
Hisako Kuyama
1
,
Hideki Soh
1
,
Atsushi Yoshida
1
1川崎医科大学小児外科
pp.714-718
発行日 2025年7月25日
Published Date 2025/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001252
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はじめに
女児の鼠径ヘルニアでは,卵巣がヘルニア内容として脱出することがあり,特に月齢の低い乳児に多くみられる。発症機序として,患側の子宮円索が短いことにより,卵管がヘルニア門近傍の後腹膜に存在し,卵管がヘルニア囊内に滑脱し,引き続いて卵巣が脱出すると考えられている1)。まれに子宮が連続して脱出することもある。卵巣ヘルニアでは,上記のような解剖学的特徴から,非還納性ヘルニアを呈する症例が多く,卵巣がヘルニア囊内に固定されていることで,捻転を起こすリスクがある2)。本稿では,女児卵管滑脱・卵巣ヘルニアの症状・診断,治療について述べ,症例を呈示する。

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