特集 小児内視鏡外科手術と医療安全
気管ファイバー使用による,胸腔鏡下食道閉鎖症手術における安全性の向上
深田 彩加
1
,
澁谷 聡一
1
,
越智 崇徳
1
,
片岡 久実
2
,
西村 欣也
2
,
山高 篤行
1
,
古賀 寛之
1
Ayaka Fukada
1
,
Soichi Shibuya
1
,
Takanori Ochi
1
,
Kumi Kataoka
2
,
Kinya Nishimura
2
,
Atsuyuki Yamataka
1
,
Hiroyuki Koga
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院小児外科
2順天堂大学医学部附属順天堂医院麻酔科
pp.255-259
発行日 2024年3月25日
Published Date 2024/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000752
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はじめに
内視鏡手術手技の進歩に伴い,先天性食道閉鎖症に対する胸腔鏡下手術は標準術式として確立されつつある。胸腔鏡下手術は,創が小さく術後の痛みが少ない点,開胸を避けることで術後の胸郭変形を防ぐことができるという点に加えて,直接肺を圧排せずとも気胸による肺の虚脱で視野を確保することが可能であることから,術後の呼吸器合併症が少なく,術後回復が早いという利点がある1)。一方で,狭い術野で精度の高い吻合手技を求められること,解剖の誤認による重篤な合併症のリスクがあることから,小児内視鏡手術において最も難易度が高いと考えられている1,2)。特にC型食道閉鎖症で気管食道瘻(tracheoesophageal fistula:TEF)が気管支分岐部の背側に潜り込むように開口しているような症例では同定が困難となり,過剰な剝離により気管および食道を損傷するリスクがある。そのため,TEFの開口位置や口側食道盲端との距離(gap)などといった術前情報を可能な限り得ることが,手術の安全性を向上させるためにきわめて重要である。
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