特集 喉頭・気管病変 治療の工夫と予後
先天性気管狭窄症に対する治療アルゴリズム
小野 滋
1
Shigeru Ono
1
1京都府立医科大学小児外科
pp.1096-1100
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000609
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はじめに
先天性気管狭窄症は気管軟骨の形成異常により呼吸障害を呈する疾患で,狭窄部の気管には通常みられる膜様部が存在せず,気管軟骨が全周性に認められる(完全気管軟骨輪;complete tracheal ring)(図1)。狭窄部の程度・長さにより呼吸障害の程度はさまざまであり,病態・重症度に応じた対応,治療ストラテジーが必要となる。無症状例や軽症例では保存的治療による経過観察が可能であるが,症状を有する症例には外科治療が検討される。限局型に対してはバルーン拡張術1),気管狭窄部切除端々吻合術2)が行われ,術後成績は良好である。狭窄部の長い症例は治療に難渋することが多いが,近年スライド気管形成術の術後成績が一定の評価を得られるようになってきた3,4)。治療成績のさらなる向上のためには,的確な病型診断と患児の病態に応じた適切な治療ストラテジーが重要である。
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