特集 小児期精巣関連疾患の診断と治療
交叉性精巣転位・Müller管遺残症候群
山田 和歌
1,2
,
金森 豊
2
Waka Yamada
1,2
,
Yutaka Kanamori
2
1鹿児島大学医歯学総合研究科小児病態制御学
2国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部外科
pp.968-971
発行日 2023年9月25日
Published Date 2023/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000576
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はじめに
交叉性精巣転位症(transverse testicular ectopia:TTE)は精巣の先天性位置異常のなかでも特にまれな疾患であり,停留精巣の約50分の1の頻度といわれている1)。TTEは1886年にVon Lenhossek2)によって初めて報告され,一側の精巣が正中を越えて対側に至り,対側の鼠径管を通って下降し片側の陰囊内に2つの精巣が存在するもの3)と定義されているが,わが国では一側の精巣が正中線を越え対側の精巣下降路に存在するものも同症と考えられている4)。一方,Müller管遺残症候群(persistent Müller duct syndrome:PMDS)は,染色体構成が46,XYであり外性器も男性であるが,卵管・子宮・膣上部といったMüller管由来の内性器が遺残する症候群であり,非常にまれである。
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