特集 共有したい術式および手術経験:手術のポイントや工夫
腹腔鏡下性腺血管延長術のtips
益子 貴行
1
,
矢内 俊裕
1
Takayuki Masuko
1
,
Toshihiro Yanai
1
1茨城県立こども病院小児泌尿器科
pp.320-323
発行日 2023年3月25日
Published Date 2023/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000394
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はじめに
精巣固定術は小児外科医・小児泌尿器科医が施行することが多い手術の一つである。しかし,腹腔内精巣は症例数が少なく,診断においても治療においても黄金律が存在しない。これまでに腹腔内精巣に対する外科的治療はさまざまな方法で施行され,開腹して行う術式や腹腔鏡を用いる術式,一期的/二期的に行う術式,性腺血管を切離する術式や温存する術式によって精巣固定が行われている1)。最近では,非触知精巣の診断は画像診断では限界があるとされ2),腹腔鏡の有用性が広く認知されてきている3)。腹腔鏡で診断をつけ,そのまま腹腔鏡下に精巣固定術を行う術式がわが国の保険診療で認められている。一方で,腹腔内精巣を陰囊内に固定する際に,精索の緊張が問題になる場合は精管よりも性腺血管の長さによって規定されることが多い。上述のように多岐にわたる腹腔内精巣の陰囊内固定術が提唱されているが, Shehataによって2008年に初めて報告4)されたあと術式の変遷を経て5),2016年にShehata technique3)(以下,本法)として報告された腹腔鏡下性腺血管延長術は,腹腔鏡下に性腺血管を離断せずに精巣を腹壁に吊るす術式で,精索に緊張をかけて腸管の重みで緩徐に延長し,二期的に精巣を陰囊内に固定する。
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