特集 高位・中間位鎖肛手術術式の成績と問題点アップデート
腹腔鏡補助下鎖肛根治術後症例の排便機能と男性機能:従来法との比較
石丸 哲也
1
Tetsuya Ishimaru
1
1埼玉県立小児医療センター外科
pp.715-718
発行日 2022年7月25日
Published Date 2022/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000185
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はじめに
鎖肛根治術の目的は良好な排便機能を獲得することであり,術後長期にわたる外来フォローでは排便コントロールに主眼が置かれることになる。一方,高位鎖肛術後の男性患者に性機能障害が多く,勃起障害は3~30%,射精障害は8~47%と報告されていて看過できない問題である1~5)。しかしながら,根治術後長期間経過した思春期・成人期に生じるプライベートな問題のため,見逃されていることが多いのではないかと考える。明らかな原因は不明であるが,男性鎖肛患者の25~33%が男性不妊の一因でもある停留精巣を合併し 1,3),正常コントロールの罹患率よりも高いことを考慮すると,鎖肛患者の男性機能障害にも先天的な要因があるのかもしれない。しかし,直腸がん術後に性機能障害が生じることがあるように,鎖肛根治術時の神経損傷による合併症の可能性もある。さらに前述のデータは従来法(posterior sagittal anorectoplasty:PSARP)で手術が行われた患者のものであり,腹腔鏡補助下鎖肛根治術(laparoscopically-assisted anorectoplasty:LAARP)後の実態は不明である。
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