特集 小児の便秘:最近の知見
小児心理と便秘症外来―便秘症治療への支援―
加藤 郁子
1
,
榊原 みゆき
1
,
寺沢 由布
1
,
浅井 美紗
1
,
世川 修
2
,
永田 智
1
Ikuko Kato
1
,
Miyuki Sakakibara
1
,
Yu Terasawa
1
,
Misa Asai
1
,
Osamu Segawa
2
,
Satoru Nagata
1
1東京女子医科大学小児科
2東京女子医科大学小児外科
pp.412-415
発行日 2022年4月25日
Published Date 2022/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000108
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はじめに:便秘症外来に心理的介入が必要になるとき
『小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン』1)によれば,小児期に便秘を発症しやすい時期や契機として,①乳児における母乳から人工乳への移行,あるいは離乳食の開始,②幼児におけるトイレットトレーニング,③学童における通学の開始や学校での排泄の回避,の3つが知られている。発症のピークは2~4歳の②の時期とされる。この時期は,幼児において後述するアタッチメントシステムが形成・内在化され,他者に対する基本的信頼感を育む時期に一致する。また,慢性便秘症をきたす主な内科的基礎疾患と病態として,神経・精神疾患のなかに,自閉症や注意欠陥多動性障害などの発達障害や心身症による身体化障害などがあげられており1),これらの背景をもつ小児の場合,上記②や③の時期や契機に強い不安を抱えやすく,かんしゃくなどの感情調節困難や反抗など行動の問題が現れやすい。一方で不適切なトイレットトレーニングや学校トイレ忌避,親の過干渉,家庭環境の変化などが慢性機能性便秘症の増悪因子としてもあげられており,これらが存在する事例では心理的介入を要する。実際に,家庭機能や養育スキル向上,子どもの情動の安定により,便秘症治療が円滑に進むことが経験されている。
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