特集 止まらない血液・固まりすぎる血液,さてどうする?
各論 血栓性疾患
遺伝性血栓性素因
石村 匡崇
1
Masataka Ishimura
1
1九州大学大学院医学研究院周産期・小児医療学講座(小児科)
pp.688-691
発行日 2026年5月1日
Published Date 2026/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002989
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はじめに
血栓塞栓症は,遺伝的素因あるいは基礎疾患を背景に,脱水や重症感染症,外傷,手術などを契機として発症する。血栓形成の要因としてVirchowの三徴(血管・血液・血流の異常)が知られており,血管壁の性状変化,凝固能の亢進,血流のうっ滞が重要である。小児・思春期は成人と比較して血栓症の発症頻度は低いが,先天性心疾患の術後や,敗血症,中心静脈カテーテル留置などを契機に発症する。小児では新生児期がもっとも血栓症の発症頻度が高い1)。凝固因子は止血のアクセルとして働き,抗凝固因子はその制御を担うブレーキとして機能する。遺伝性血栓性素因とは,凝固因子や抗凝固因子(凝固制御因子ともいう)の先天的な異常により血栓症を発症しやすい体質である。

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