病気のはなし
特発性血栓症—遺伝性血栓性素因によるものに限る
津田 博子
1
1中村学園大学
pp.557-563
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208011
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Point
●「特発性血栓症(遺伝性血栓性素因によるものに限る.)」は,遺伝性血栓性素因による先天的な血液凝固亢進状態により病的血栓傾向となり,若年性に重篤な血栓症を発症する疾患群であり,指定難病(告示番号327)に認定されている.
●代表的な遺伝性血栓性素因は,先天性プロテインC(PC)欠乏症,先天性プロテインS(PS)欠乏症,先天性アンチトロンビン(AT)欠乏症である.
●新生児・乳児期と小児期・成人では好発する症状に違いがある.
●診断には,特徴的な症状,検査所見(血漿中のPC,PS,AT活性低下),鑑別診断が必須要件であり,PROC,PROS1,SERPINC1の遺伝子変異の同定ないし遺伝性を示唆する所見が求められる.
●長期にわたる抗凝固療法や補充療法を要することが多く,患者およびその家族に対して身体面,精神面,経済面の支援が必要である.
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