特集 常在微生物叢と小児疾患~腸内細菌叢の先にあるもの~
総論
腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)と小児疾患
赤川 翔平
1,2
,
金子 一成
1
AKAGAWA Shohei
1,2
,
KANEKO Kazunari
1
1関西医科大学小児科学講座
2関西医科大学附属病院アレルギーセンター
pp.1023-1028
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002510
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はじめに
ヒトの口腔,消化管,気道,皮膚,泌尿・生殖器などには種類にして1000種類以上,数にして約38兆個もの細菌が常在している。そのうち90%以上は消化管で腸内細菌叢を形成しており,一定のバランスを保ちながら,ヒトと共生している。近年,その役割が明らかになるにつれ,重要な研究テーマとして注目を集めており,米国国立医学図書館のPubMedでキーワード“gut microbiota”で検索すると,年間論文数が最近15年で約65倍(2009年269件,2024年17417件)に増えている(2025年5月31日検索)。
本稿では,腸内細菌叢研究に関する最近の知見について,小児疾患との関連を含めて紹介する。

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