特集 常在微生物叢と小児疾患~腸内細菌叢の先にあるもの~
総論
乳幼児期の腸内細菌叢形成に影響を及ぼす因子と乳児型ビフィズス菌について
伊藤 淳
1
ITO Atsushi
1
1東京大学医学部附属病院小児科
pp.1013-1021
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002509
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
ヒトの常在細菌は皮膚や消化管,その他にそれぞれ固有の種類が住み着いている。この細菌全体を細菌叢とよぶ。ヒトの体を構成する細胞数が約60兆個といわれるのに対して,体内にはそれを上回る100兆個以上,種類にして1000種類以上の細菌が存在する。その内訳は口の中が約100億個,皮膚が約1兆個,胃が約1万個,小腸が約1兆個,大腸が約数百兆個,泌尿器や生殖器が約1兆個であるといわれる。圧倒的に数が多いのが大腸に住み着く腸内細菌の細菌叢であり,細菌の重さだけで1 kgに達するという。重さでは脳や肝臓に匹敵し,「第二の臓器」という呼び方もされている。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.