特集 常在微生物叢と小児疾患~腸内細菌叢の先にあるもの~
総論
腸内細菌叢解析法の進歩
藤本 康介
1,2
FUJIMOTO Kosuke
1,2
1大阪公立大学大学院医学研究科ゲノム免疫学
2東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センターメタゲノム医学分野
pp.993-997
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002505
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はじめに
ヒトの消化管内には,1000種類以上,約100兆個の細菌が生息し,非常に複雑な生態系を構築している。この細菌の集合体は腸内細菌叢(腸内フローラ)とよばれている。近年のさまざまな研究により,腸内細菌叢は私たちの食習慣や年齢などに応じて変化し,個々人で異なることが明らかとなった。すでに肥満・糖尿病・高血圧などの生活習慣病,関節リウマチや炎症性腸疾患などの自己免疫疾患,悪性腫瘍,アレルギーなどでは腸内細菌叢の構成異常(dysbiosis)が関連していることが報告されており,dysbiosisの制御が近年のホットトピックスとなっている。

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