特集 常在微生物叢と小児疾患~腸内細菌叢の先にあるもの~
総論
ヒト腸内マイクロバイオームの基本構造
須田 亙
1
SUDA Wataru
1
1理化学研究所生命医科学研究センター共生微生物叢研究チーム
pp.987-991
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002503
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はじめに
ヒトの体には膨大な数の微生物(細菌,古細菌,ウイルス,真菌など)が生息している。腸管はヒト体内で最多かつ多様な微生物が生息する場であり,約3.8×1013個(およそ38兆個)もの細菌細胞が存在することが明らかになっている1)。また細菌よりは少ないが,ウイルス(バクテリオファージが大半)も腸内に豊富であることも知られており,細菌と同等程度の数が存在すると見積もられている2)。さらに細菌やファージよりは存在量は少ないが,消化管には真核微生物(真菌や原生動物)が存在することも知られている。このように膨大な微生物の複雑な集合体である腸内マイクロバイオームは消化・代謝から免疫調節まで多岐にわたる役割を担っていると考えられている。

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