3．細菌感染症 4）ヘリコバクター・ピロリ感染症

Helicobacter pylori infection

1　検査の意義と適応

　ヘリコバクター・ピロリ（ピロリ）菌は，世界各国および世代別の感染率に大きな差が認められるなかで，わが国における小児の感染率は5％を下回るほどに低下している^1）。また，ピロリ菌に感染していても無症状の患者も多く，小児科医の診療機会は限られる。しかし，ピロリ菌が関与する疾患は，ピロリ感染胃炎，ピロリ関連ディスペプシアおよび胃がんなどの消化管疾患に限定されず，鉄欠乏性貧血，特発性血小板減少性紫斑病および慢性蕁麻疹など消化管外疾患にもおよび，小児でもピロリ菌感染診断検査を考慮する場面は多い。