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特集 小児臨床検査2024
Ⅱ.便検査
5.便粘液中好酸球検査
Eosinophils in fecal mucus
山田 佳之
1
,
市之宮 健二
2
,
清水 真理子
3
Yoshiyuki Yamada
1
,
Kenji Ichinomiya
2
,
Mariko Shimizu
3
1東海大学医学部総合診療学系小児科学
2群馬県立小児医療センター新生児科
3群馬県立小児医療センターアレルギー・リウマチ科
キーワード:
好酸球
,
新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症
,
好酸球性消化管疾患
Keyword:
好酸球
,
新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症
,
好酸球性消化管疾患
pp.50-52
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001876
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1 検査の意義と適応
便粘液中好酸球は消化管粘膜内の好酸球浸潤を反映するものと考えられている。主として便とともに排泄された大腸粘膜からの粘液内で検出される。また,同時にCharcot-Leyden結晶が観察されることもある。この結晶は喘息の患者喀痰中など,好酸球性炎症性疾患の炎症局所で好酸球とともに出現することが知られており,疾患の重症度と関連があるともいわれている。本検査はその原理からも,好酸球性消化管疾患や潰瘍性大腸炎などの好酸球性炎症を伴う炎症性腸疾患で観察される可能性がある。好酸球性消化管疾患や炎症性腸疾患は乳児よりも幼児期以降に多い。本検査は幼児期以降も実施可能ではあるが,便とともに排泄される粘液を適切に採取することは困難なことが多いことから,主として新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症,とくに食物蛋白誘発直腸結腸炎(food protein-induced allergic proctocolitis:FPIAP)や新生児の牛乳由来調製粉乳が原因で血便も認めるような食物蛋白誘発胃腸炎症候群(food protein-induced enterocolitis syndrome:FPIES)などの好酸球性炎症の関与が疑われる場合が検査の適応と考える1)。また,より客観性のある定量検査としては便中EDN検査がある2)。しかし,便中EDN検査は限られた施設でのみ実施可能であり,保険収載はされていない。
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