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特集 好酸球性消化管疾患のすべて
[各論 その他の好酸球関連消化管疾患]
好酸球増多症候群(HES)の消化管病変と好酸球性消化管疾患(EGID)
Differences between gastrointestinal involvement in hypereosinophilic syndrome (HES) and eosinophilic gastrointestinal disorders (EGIDs)
森山 智彦
1,2
,
森 康雄
3
,
加藤 光次
3
,
川床 慎一郎
4
,
鳥巣 剛弘
2
Tomohiko Moriyama
1,2
,
Yasuo Mori
3
,
Koji Kato
3
,
Shinichiro Kawatoko
4
,
Takehiro Torisu
2
1九州大学病院国際医療部
2九州大学大学院病態機能内科学
3九州大学大学院病態修復内科
4九州大学大学院形態機能病理学
キーワード:
好酸球増多症候群
,
消化管病変
,
好酸球性消化管疾患
Keyword:
好酸球増多症候群
,
消化管病変
,
好酸球性消化管疾患
pp.1425-1430
発行日 2022年8月25日
Published Date 2022/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000301
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はじめに
消化管に好酸球が異常集積することで炎症が引き起こされる好酸球性消化管疾患(eosinophilic gastrointestinal disorder:EGID)は,新生児~小児における食物蛋白誘発胃腸炎,幼児~成人の好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis:EoE),好酸球性胃腸炎(eosinophilic gastroenteritis:EGE)の総称であるが1),われわれ消化器内科医が遭遇するのはおもにEoEとEGEであろう。EGID,特にEGEではしばしば末梢血の好酸球増加を認めるが,そのような症例では好酸球増多症候群(hypereosinophilic syndrome:HES)の一臓器症状である可能性も考慮する必要がある。HESは末梢血の好酸球数増加に加え,好酸球浸潤による臓器障害がある病態として,1975年にChusidらによって診断基準が作成された2)。長年にわたり,原因不明の好酸球数増加をきたす病態を包括する概念として用いられてきたが,近年の分子生物学の進歩によってHESの分子異常や病態の解明が進んだことで定義や分類が変遷し,分子標的薬を含めた新しい治療法も報告されている。本稿ではHESの診断と分類,治療について概説し,HESでみられる消化管病変について述べる。
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