特集 子どもの検査値の判断に迷ったら
2章 便検査
2.便潜血検査
柏木 項介
1
,
神保 圭佑
1
1順天堂大学小児科
キーワード:
免疫学的便潜血検査
,
炎症性腸疾患
,
血管炎症候群
,
好酸球性消化管疾患
,
感染性腸炎
Keyword:
免疫学的便潜血検査
,
炎症性腸疾患
,
血管炎症候群
,
好酸球性消化管疾患
,
感染性腸炎
pp.1373-1377
発行日 2023年12月20日
Published Date 2023/12/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002821
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はじめに,本稿における便潜血検査とは,多くの施設で採用されている免疫学的便潜血検査(fecal immunochemical test:FIT)について述べることとする.検査の概説は別稿を参考にしていただき,本稿ではFITの注意点について記述することとする.FITはヒトHbAに対する特異抗体を用いて消化管出血を評価する検査である.したがって,胃酸や膵液などの消化酵素が豊富な上部消化管ではHbAが変性してしまうため,検出することができない1).また,新生児のHbは,HbFがその多くを占めるため,新生児の消化管出血は検査の解釈に注意を払う必要がある.便検体を採取する際は,便中のHb濃度が出血部位により異なることに留意し便表面から便中まで偏りなく,かつ適量を採取する必要がある.過剰あるいは過少な便量は検査の偽陰性につながる可能性があるほか,学童期から思春期の女児では,月経血が混入することもあるため注意しなければならない.さらに,検査は2日以上連続して実施し,検査結果の再現性を評価することが肝要である.
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