特集 小児科医が知っておくべき子どもの眠り
各論
基礎疾患と睡眠障害 アレルギー疾患と睡眠障害
小林 茂俊
1
KOBAYASHI Shigetoshi
1
1帝京大学医学部小児科・アレルギーセンター
pp.1271-1274
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001806
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
アレルギー疾患の有病率は高く,国民の3人に2人がアレルギー疾患を有しているとされる。そのためアレルギー疾患による睡眠障害が,社会・経済に与えるインパクトは大きいと考えられる。アレルギー疾患では,その症状のため睡眠障害をきたす場合が少なくない。とくに気管支喘息の急性増悪,アトピー性皮膚炎のかゆみ,アレルギー性鼻炎の鼻閉などの諸症状は睡眠障害をきたしやすい。アレルギー疾患は合併しやすいため,複数の疾患が複合的に影響して睡眠障害をきたすことも少なくない。アレルギー疾患の治療薬も睡眠に影響を及ぼすことがあり,睡眠障害の一因となることがある。さらに,睡眠障害は,各種細胞からの炎症性メディエーター産生を亢進させることによって炎症を促進し,アレルギー疾患が悪化,さらなる睡眠障害を惹起するという悪循環を形成する。アレルギー疾患の診療においては,患者の睡眠障害の有無,程度についても注意を払う必要があると思われる。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.