特集 完全把握をめざす小児の心疾患
先天性心疾患の基本
【コラム】日本におけるパルスオキシメータを使用した重症先天性心疾患のスクリーニング
与田 仁志
1
,
増本 健一
2
YODA Hitoshi
1
,
MASUMOTO Kenichi
2
1東邦大学医学部特任教授
2東邦大学医療センター大森病院新生児科准教授
pp.525-526
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001598
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
先天性心疾患はいつ発見されるか?
国内でも,胎児心エコー検査のガイドラインとその改訂版1)が日本小児循環器学会にて作成・改訂され,産婦人科医への啓発普及も進んできたことから,いくつかの先天性心疾患が出生前に診断されるようになった。単心室や左心低形成症候群など大きな異常を呈する疾患の検知率は高いが,完全大血管転位や総肺静脈還流異常など,四腔断面が正常な心疾患は胎児期の検査では発見されにくい。もし胎児期に心疾患を指摘されない場合,出生後,新生児に心徴候が現れてからの診断となる。新生児期に心疾患発見の手がかりとなる臨床症状・徴候として,チアノーゼ,心雑音,呼吸障害,哺乳不良,ショックなどがあるが,治療の好機を逸することにもなりかねない。心雑音の聴取も日齢が進むと肺血管抵抗が自然に低下することで次第にはっきりしてくるが,重篤な心疾患のなかには心雑音が聴取されないものもあり,左心低形成症候群,完全大血管転位,総肺静脈還流異常などきわめて重篤な心疾患が含まれる。このような主観に頼らない方法として,パルスオキシメータによる重症先天性心疾患(critical congenital heart disease:CCHD)のスクリーニングがある。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.