特集 ローリスク妊婦ローリスク新生児のケア2025
分娩時の母体と新生児のケア:新生児
パルスオキシメータによる先天性心疾患のスクリーニング
与田 仁志
1
YODA Hitoshi
1
1東邦大学医学部新生児学講座
pp.86-90
発行日 2025年1月10日
Published Date 2025/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001998
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
先天性心疾患はいつ発見されるか?
国内でも胎児心エコー検査のガイドライン1)が日本小児循環器学会にて作成・改定され,産婦人科医への啓発普及が進んできたことから,いくつかの先天性心疾患が出生前に診断されるようになった。単心室や左心低形成症候群など四腔断面で明らかな異常を呈する疾患の検知率は向上したが,完全大血管転位や総肺静脈還流異常など,四腔断面が一見正常な心疾患は胎児期の検査では発見されにくい。もしも胎児期に心疾患を指摘されない場合は出生後,新生児に心徴候が表れてからの診断となる。新生児期に心疾患発見の手がかりとなる臨床症状・徴候としてチアノーゼ,心雑音,呼吸障害,哺乳不良,ショックなどがあり,これらを見逃すと治療の好機を逸することになる。心疾患を疑う最も代表的な心雑音は日齢が進み,肺血管抵抗が自然に低下する時期にはっきりしてくることはよく知られている。しかし重篤な心疾患のなかには心雑音が聴取できないものがあり,左心低形成症候群,完全大血管転位,総肺静脈還流異常などきわめて重篤な心疾患が含まれる。このような臨床症状・徴候など観察者の主観に頼らない方法として,パルスオキシメータによる重症先天性心疾患(critical congenital feart disease:CCHD)のスクリーニングがある。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.