特集 知って得する胎児・新生児の心疾患2024
基礎編
パルスオキシメータによる重症先天性心疾患スクリーニング
中野 玲二
1
NAKANO Reiji
1
1静岡県立こども病院新生児科
pp.942-945
発行日 2024年7月10日
Published Date 2024/7/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001638
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重症先天性心疾患の出生後スクリーニングの必要性
重症先天性心疾患(critical congenital heart disease:CCHD)は,新生児期早期に適切な治療が必要とされる重篤な疾患である。胎児診断例は増えているが,依然として出生後に重篤化して診断される例が少なくない。肉眼的評価のみで病的チアノーゼを診断することは困難であるため,欧米ではパルスオキシメータを用いたスクリーニング法が提案され1),死亡症例減少が報告されている2)。しかし,国内では標準的なスクリーニング法は提案されておらず,パルスオキシメータによるスクリーニングはまだ普及しているとはいえないため,日本新生児成育医学会診療委員会では,国内の周産期医療体制に適した実行可能性の高い簡易な方法でのCCHDのスクリーニングについて検討した。国内でのスクリーニング法提案の前提としての国内の分娩施設の現状や取り組みが把握できていない状況であったため,日本産婦人科医会と共同で全国の分娩施設責任者を対象にアンケート調査を実施して,パルスオキシメータによるスクリーニングの必要性および実行可能性について肯定的な回答が多いことを報告した3,4)。
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