Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
1 疾患概念
好酸球性消化管疾患〔eosinophilic gastrointestinal disorders(EGIDs)〕は消化管局所で好酸球性炎症により組織が傷害され,機能不全を起こす疾患の総称である。消化管の好酸球性炎症はさまざまな疾患によって引き起こされることもあり,広義にはこのような続発性EGIDsも含まれる。一次性EGIDsの主たる病態は気管支喘息やアレルギー性鼻炎などと同様に2型炎症性(アレルギー性炎症性)疾患である。消化管の罹患部位によって分類される。ごく最近,国際的な疾患分類がなされ,好酸球性食道炎〔eosinophilic esophagitis(EoE)〕とそれ以外のEGIDsであるnon-EoE EGIDsに大別されるようになった1)。non-EoE EGIDsにあたる包括病名として,わが国では長年,好酸球性胃腸炎〔eosinophilic gastroenteritis(EGE)〕が用いられてきた2)。また各部位のEGIDsの略称も決まり,EoEに準じて好酸球性を意味する「Eo」との組み合わせとなり,好酸球性胃炎〔eosinophilic gastritis(EoG)〕,好酸球性腸炎〔eosinophilic enteritis(EoN)〕,および好酸球性大腸炎〔eosinophilic colitis(EoC)〕と表現されるようになった。EGEという用語は積極的には用いないことになった。小児では学童期以降が多いが,どの年齢でも発症し,診断には組織病理所見での好酸球性炎症の確認が必須である。non-EoE EGIDsはわが国では比較的認知されている疾患であるが,国際的にはまれな疾患である。それに対してEoEは欧米では,もはやまれな疾患ではなくなった。食物アレルギーの一種としても分類され,消化管アレルギーとしてはIgE依存性と非IgE依存性アレルギーの両方の性質をもつ混合性アレルギーに分類される3)。アレルギーとの関連がはっきりしないこともあるが,基本的にはアレルギー性炎症性疾患であり,気管支喘息やアレルギー性鼻炎などと同様に好酸球を標的として治療には局所および全身性ステロイドが用いられる。アレルギー性疾患として原因抗原の除去も選択される。EoEは特徴的な内視鏡所見を認め,プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)に反応して改善する例が多いという特徴がある4)。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.