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特集 エキスパートが教える 小児の薬物治療
Ⅲ.疾患別
B.感染症
肺炎マイコプラズマ感染症
Mycoplasma pneumoniae infection
尾内 一信
1
Kazunobu Ouchi
1
1川崎医療福祉大学医療福祉学部子ども医療福祉学科
キーワード:
肺炎マイコプラズマ
,
マクロライド耐性
,
抗菌薬適正使用
Keyword:
肺炎マイコプラズマ
,
マクロライド耐性
,
抗菌薬適正使用
pp.363-365
発行日 2023年11月30日
Published Date 2023/11/30
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001248
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1 疾患概念
Mycoplasma pneumoniae(MP)は,飛沫感染,接触感染で感染し,上気道炎~肺炎,胸膜炎といったすべての呼吸器感染症の病型をひき起こす。5歳以上の小児と成人で市中肺炎の主要な原因である。ときに呼吸器以外に合併症を伴うことがある(表1)。ヒトは一生に一度はMPに感染するとされているが,終生免疫は獲得しない。感染には家族内や集団生活をともにするなど比較的濃厚な接触が必要とされる。MPは,細胞壁が存在せず,リポポリサッカライドやペプチドグリカンなどの細胞壁成分が欠如している。また,最小の細菌でゲノムサイズも小さく,増殖時に発生する過酸化水素や活性酸素による細胞障害以外に目立った毒素や病原因子は産生しない。したがって,MPの発病メカニズムは主に宿主のMPに対する免疫機序が想定される。つまり宿主が免疫不全状態では重症化しにくいと考えられる。また,5歳以降にMP肺炎が多いのは,その頃に免疫が成熟するからだと考えられる。
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