特集 肺炎診療のピットフォール—COVID-19から肺炎ミミックまで
【感染性肺炎】
❸非定型肺炎—コロナ以外のウイルス、マイコプラズマなど
鈴木 諭
1
1利根中央病院総合診療科/群馬家庭医療学センター
キーワード:
非定型肺炎
,
マイコプラズマ肺炎
,
マクロライド耐性
,
Mycoplasma pneumoniae
,
遺伝子検査
Keyword:
非定型肺炎
,
マイコプラズマ肺炎
,
マクロライド耐性
,
Mycoplasma pneumoniae
,
遺伝子検査
pp.167-171
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202989
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
ピットフォールCase
薬剤耐性を考慮せず初期対応されたマイコプラズマ肺炎の1例
患者:42歳、男性。
既往歴:特記事項なし。喫煙は22歳から現在まで20本/日。
現病歴:10日前からの咳嗽と3日前からの発熱を主訴に、近くのクリニックを受診した。咳嗽は徐々に悪化傾向であり、ここ数日は睡眠も妨げられるほどであった。聴診上は明らかな所見は認められなかったが、呼吸数の上昇と酸素飽和度の低下を認めたため胸部X線撮影(図1)が行われ、右下肺野の浸潤影を認めた。追加の病歴聴取から同居家族にマイコプラズマ肺炎で治療中の患児がいることがわかり、マイコプラズマ肺炎としてマクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシン)を処方され、帰宅となった。内服開始後3日経過しても症状改善を認めず、発熱が続くため、クリニック再診後、精査目的に2次病院総合診療科へ紹介となった。受診時の胸部CT(図2ⒶⒷ、図3)で一部すりガラス陰影を伴う右下葉S8および左肺底部の浸潤影を認めた。同日行われたM. pneumoniaeの遺伝子検査においてマクロライド耐性(M. pneumoniae)を認め、テトラサイクリン系抗菌薬(ミノサイクリン)への内服治療の変更が行われた。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.