症例
高IgG4血症を伴う原発性硬化性胆管炎/自己免疫性肝炎オーバーラップ症候群の小児例
田村 奈悠
1
,
藤井 洋輔
1
,
清水 雄一
1
,
中山 奈々
1
,
小山 展子
1
,
廻 京子
1
,
後藤 振一郎
1
,
井上 勝
1
TAMURA Nayu
1
,
FUJII Yosuke
1
,
SHIMIZU Yuichi
1
,
NAKAYAMA Nana
1
,
KOYAMA Nobuko
1
,
MEGURI Kyoko
1
,
GOTO Shinichiro
1
,
Inoue Masaru
1
1岡山赤十字病院小児科
pp.1671-1676
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001165
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はじめに
原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis:PSC)は,肝内外胆管上皮の原因不明の炎症と線維化による慢性胆汁うっ滞症とされ,予後不良な疾患であり,根本的な治療は肝移植とされている1)が,近親者をドナーとした生体部分肝移植の場合には高率に再発を認める。また,自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis:AIH)は自己免疫機序による慢性肝炎で,血清IgGの上昇や自己抗体陽性といった特徴を認め2),小児期のPSCはAIHとのオーバーラップが3割程度存在する1)とされる。本症例は血液検査でIgG,IgG4高値を認め,鑑別としてIgG4関連疾患も考えられた。IgG4関連疾患は多彩な症状を呈し,そのなかにIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)がある。IgG4-SCはPSC同様に閉塞性黄疸を伴い,臨床的には類似所見を呈する。しかし,PSCでは有効な治療法がないのに対してIgG4-SCではステロイドをはじめとする免疫抑制療法が有効であることが多く3),これらを鑑別することは適切な治療のため必須である。
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