特集 ワクチンup to date
各論
ロタウイルスワクチン 有効性と安全性
吉川 哲史
1
YOSHIKAWA Tetsushi
1
1藤田医科大学医学部小児科学
pp.1436-1440
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001089
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
ロタウイルス(Rotavirus:RV)ワクチンは経口投与で免疫を付与する弱毒生ワクチンであり,ポリオウイルスワクチンが弱毒生ワクチンから不活化ワクチンに置き換わったわが国では,現在唯一の経口投与生ワクチンである。本ワクチンは,メキシコで実施されたロタウイルス胃腸炎(RVGE)に関する大規模コホート研究による,乳幼児期にRVGEを反復するたびに胃腸炎症状が軽症化し,異なる血清型のRV感染を受けるという知見1)をもとに開発が進められた。よって,このワクチンは感染予防が可能なワクチンではなく,重症化を防ぐワクチンである。その効果は明らかで,WHOも小児への本ワクチン接種を推奨している。一方,最初に市販されたRotaShield®の際に問題となった腸重積症は,現行のRVワクチンでも同じように副反応として注意喚起されている。また,弱毒生ワクチンのため,先天性免疫不全症患児への接種によりワクチン株による重症胃腸炎を起こすことがあり注意が必要である。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.