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ロタウイルスワクチン
石和田 稔彦
1
1千葉大学医学部附属病院感染症管理治療部
pp.97-100
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104160
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はじめに─ロタウイルスとは?
ロタウイルスは,レオウイルス科に属するRNA(ribonucleic acid)ウイルスである.ロタウイルスは11本のRNAの分節からなるゲノムとコア,内殻,外殻の3層の構造蛋白で構成される.外殻はVP(viral protein)7とVP4という蛋白質から構成され,それぞれ独立した中和抗原を有する.VP7はG抗原,VP4はP抗原といわれ,それぞれをコードする遺伝子型の組み合わせによって分類される.ヒトロタウイルスは11のG抗原,13のP抗原が検出されているが,主要なものは,G1P[8],G2P[4],G3P[8],G4P[8],G9P[8]で占められる.わが国においては,G1P[8]が最も多く,次いでG2P[4]の頻度が高いと報告されている1).
ロタウイルスの主な感染経路は,ヒト-ヒト間の糞口感染である.潜伏期間は2~4日間とされる.感染力は極めて高く,少数のウイルス粒子でも感染が成立する.また,ロタウイルスは環境中でも安定しており,手の表面では数日間,器物の表面では1~10日間感染力を保持するため,汚染された物や手指を介してウイルスが口に入ることで感染が成立する可能性がある.したがって,保育所,幼稚園,小学校などの教育施設や病院,高齢者福祉施設などでの流行がしばしば問題となる.
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