特集 腎・泌尿器疾患―血尿から移植まで
腎疾患診療に役立つ知識
DOHaDと腎障害
西﨑 直人
1
,
清水 俊明
2
NISHIZAKI Naoto
1
,
SHIMIZU Toshiaki
2
1順天堂大学医学部附属浦安病院小児科
2順天堂大学大学院医学研究科小児思春期発達・病態学
pp.1091-1095
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000997
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はじめに
Developmental origins of health and disease(DOHaD)とは,「胎児期の不適切な子宮内環境や出生後の栄養状態不良などの諸条件によって,主要臓器における成長後の非感染性疾患(non-communicable diseases:NCDs)罹患の素地が形成され,その後の生活習慣やイベントの負荷によって実際にそのNCDsが発症しうる」という概念である1)。ヒトでは,受精から出生までの約280日間と,出生から2歳ごろまでの約720日間の合計1000日間(first 1000 days)がとくに重要とされ,この期間における諸条件がその後の健康に大きく影響する2)。早産は低出生体重のリスク因子であり,また出生体重はそれ自体がsurrogate markerとして子宮内環境の善し悪しを反映している。したがって低出生体重で生まれると,それだけで将来のNCDsの罹患リスクとなる。たとえば腎臓に関しては,早産や低出生体重であることが将来の慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の罹患リスクとなる3)。
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