症例
血管輪を合併し呼吸管理に難渋したKagami-Ogata症候群の早産児例
西田 江璃子
1,4
,
渡邊 晶子
1
,
淡路 敦子
1
,
水谷 亮
1
,
西﨑 直人
1
,
岡﨑 任晴
2
,
大日方 薫
1
,
鏡 雅代
3
,
東海林 宏道
4
,
清水 俊明
4
NISHIDA Eriko
1,4
,
WATANABE Akiko
1
,
AWAJI Atsuko
1
,
MIZUTANI Akira
1
,
NISHIZAKI Naoto
1
,
OKAZAKI Tadaharu
2
,
OBINATA Kaoru
1
,
KAGAMI Masayo
3
,
SHOJI Hiromichi
4
,
SHIMIZU Toshiaki
4
1順天堂大学医学部附属浦安病院小児科
2順天堂大学医学部附属浦安病院小児外科
3国立成育医療研究センター研究所分子内分泌研究部臨床内分泌研究室
4順天堂大学小児科
pp.867-872
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000925
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はじめに
Kagami-Ogata症候群(Kagami-Ogata syndrome:KOS,OMIM #608149)は,第14番染色体長腕の32.2領域に存在するインプリンディング遺伝子の発現異常によって発症する先天異常症候群であり,1991年にWangら1)によってはじめて報告され,鏡ら2,3)によって分子メカニズムが解明された。父性片親性ダイソミーによるものがもっとも多く,そのほかインプリンディング領域を含む欠失やメチル化異常(エピ変異)も存在する2,3)。臨床像としては,ベル型小胸郭やコートハンガー型肋骨変形,特徴的顔貌(短い翼状頸,突出した人中,平坦な鼻梁,豊かな頰,小顎,前額突出,眼瞼裂狭小)などを特徴とする。また胎児期の羊水過多や胎盤過形成をほぼ全例に認め,これらに起因する早産出生の頻度が高いのも特徴である2~5)。これまでに国内で約50例が遺伝子診断されているものの,本症の合併症や臨床経過に関しては不明な点も多い。解剖学的異常として,臍帯ヘルニアをはじめとする腹壁異常や気管軟化症などの気道病変が多いが,過去に気管周囲に発生した血管輪合併の報告はない。
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