綜説
小児のヘリコバクター・ピロリ感染症
清水 俊明
1
1順天堂大学大学院医学研究科小児思春期発達・病態学
キーワード:
Helicobacter pylori
,
消化性潰瘍
,
13C-尿素呼気試験
,
除菌治療
,
test & treat
Keyword:
Helicobacter pylori
,
消化性潰瘍
,
13C-尿素呼気試験
,
除菌治療
,
test & treat
pp.1687-1693
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002014
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Helicobacter pylori(H. pylori)感染症は,日本人の半数近くが罹患している非常に頻度の高い疾患であるが,感染経路や病原性など不明な点も多い.小児科医がぜひ知っておきたいH. pylori感染症の知識として,① H. pyloriの感染時期は小児期,とくに5歳未満である,② その感染の多くは,家族内(とくに母親からの)感染である,③ 保菌者の多くは無症状であるが慢性胃炎の状態にある,④ 消化性潰瘍(とくに十二指腸潰瘍)の半数以上にH. pylori感染が関与する,⑤ 診断,治療にあたっては2018年改訂のガイドラインを参考にする,⑥ 最近,クラリスロマイシン耐性菌が50%以上と増加している,⑦ 除菌率を上げるには,14日間投与や感受性試験による薬剤の選択が必要である,⑧ 小児の鉄欠乏性貧血や慢性免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)では,H. pylori感染の関与も考慮する,⑨ 現在行われている小児のtest & treatは十分な議論が必要である,などが挙げられる.
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.