特集 新しい時代の小児感染症
各論:感染臓器別
皮膚・軟部組織感染症
肛門周囲膿瘍
高橋 正貴
1
,
尾花 和子
1
,
谷 有希子
1
TAKAHASHI Masataka
1
,
OBANA Kazuko
1
,
TANI Yukiko
1
1日本赤十字社医療センター小児外科
pp.575-576
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000847
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はじめに
肛門周囲膿瘍,乳児痔瘻は日常的な直腸肛門疾患で,歯状線にある肛門陰窩に細菌感染し,炎症が肛門周囲皮下へ波及して膿瘍を形成することで発生する(図1)。膿瘍が自壊,排膿されると瘻管が形成され痔瘻となる。通常,瘻管は上皮に覆われた部分が少なく治癒しやすい。生後1歳未満に発症することが多く,大多数が男児に発症する。膿瘍および瘻孔開口部(二次孔)は肛門の側方(3時,9時)に多く,2つ以上開口することもある。女児での発症はまれであるが,女児では前方(0時)に開口する1)。乳児痔瘻の成因として,解剖学的異常やホルモンのアンバランス,また腸管の局所免疫の機能低下(IgA分泌の未熟性)2)などがいわれているがいずれも病態を完全に説明できるものではない。
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