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1 基本病因,発症機序
横紋筋肉腫は,間葉組織に由来する骨格筋の形質を有する悪性腫瘍である。小児でもっとも頻度の高い悪性軟部腫瘍であり,発生頻度は,わが国の学会登録では年間およそ50例,米国では小児100万人当たり4.3人(年間約350例)の発症とされる1)。約半数は10歳までに発症するが,成人にも発症する腫瘍であり20歳台や一部高齢者にもみられる。全身のどこにでも発生し得るが,頭頸部(35~40%),泌尿生殖器(25%),四肢(20%)原発が多い。組織型として胎児型(embryonal type),胞巣型(alveolar type),紡錘細胞/硬化型(spindle cell/sclerosing type),多形型(pleomorphic type)の4つの亜型が存在するが,小児では胎児型と胞巣型が多く,多形型はきわめてまれである。また,原発部位によって好発年齢,組織型が異なっており,頭頸部原発は低年齢児に多く,眼窩や泌尿器原発は胎児型が多い一方で,四肢原発は年長児および胞巣型が多い,といった特徴がある。分子生物学的には,胞巣型の70~80%程度にPAX3/PAX7-FOXO1の融合遺伝子を有する。従来,胞巣型は予後不良とされていたが,最近では融合遺伝子のない胞巣型の予後は胎児型と類似しており,融合遺伝子のある症例よりも予後良好であることが報告され2),米国のリスク分類ではFOXO1融合遺伝子の存在が,病理学的な亜型分類よりも重視されるようになった。一方,胎児型では多くの症例でinsulin-like growth factor 2(IGF-2)遺伝子の存在する11p15のヘテロ接合性喪失(loss of heterozygosity:LOH)を認めるのが特徴である。
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