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骨肉腫(Osteosarcoma)
1 基本病因,発症機序
骨肉腫は,骨・類骨形成を特徴とする悪性腫瘍と定義される。原発性悪性骨腫瘍の発生頻度はきわめて低く,全腫瘍の0.2%に過ぎない。そのなかで骨肉腫はもっとも頻度が高く,米国の統計では0~24歳の100万人に年間4.4例と報告されている1)。日本の骨腫瘍登録(2006~2015年)では骨肉腫が34%を占める。骨肉腫の約60%が10~25歳に発症するが,その後も80歳まで一定の発生がみられる。一方で5歳以下にはほとんど発症しない。40歳以上での発症例のなかには,小児期における放射線治療や骨Paget病に続発した二次性骨肉腫と考えられるものもある。男女比は1.3~1.5:1でやや男性に多い。好発部位は長管骨の骨幹端であり,大腿骨遠位,脛骨近位,上腕骨近位の順に多く,全体の約半数が膝周囲に発生する。骨肉腫の発生機序はまだ不明であるが,好発年齢と好発部位から,骨の急激な成長と骨肉腫発症のかかわりが示唆されている。高身長や思春期早発が骨肉腫のリスクとなり得るのかは議論があり2),ビタミンD受容体の遺伝子多型と骨肉腫との関連が報告されているほか3),小児期と成人期の高身長に影響する多遺伝子が骨肉腫リスクに寄与していることも報告されている4)。これらの結果は,正常な骨の成長に影響を与える生物学的経路が,骨肉腫の病因に関与している可能性を示唆している。また,骨肉腫は多くの遺伝性腫瘍症候群とかかわることが知られている。Retinoblastoma(RB)遺伝子が原因となる網膜芽細胞腫の二次がんは多くが骨肉腫であり,TP53遺伝子変異を有するLi-Fraumeni症候群では骨肉腫を高率に発症する。
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