臨床経験
横紋筋肉腫について
石井 良章
1
,
伊勢亀 富士朗
1
,
宗近 靖
1
,
花岡 英彌
2
Yoshiaki ISHII
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
2済生会神奈川県病院整形外科
pp.155-163
発行日 1968年2月25日
Published Date 1968/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903878
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いとぐち
比較的稀な軟部組織の肉腫の中で,組織学的に多様性を示す横紋筋肉腫の存在は1854年C. O. Weberの報告をもつて嚆矢とする.従来,横紋筋組織そのものに発生せる肉腫はほとんどなく,横紋の存在しない部分,殊に泌尿,性器部などに異所的発生するものが大部分であつた.しかるにFujinami(1900),Montpellier(1929),Rakov(1937)らにより骨格筋部発生の横紋筋肉腫が報告され,爾来,同所的発生の存在も病理学的に認められてきた.しかしながら整形外科領域における横紋筋肉腫の報告は少なく,また組織学的診断に難渋することが少なくない.
われわれは最近,腸腰筋に発生せる極めて珍らしい横紋筋肉腫の2例を経験したので病理学的考察を加えて横紋筋肉腫の周辺を探り,併せて整形外科領域における軟部肉腫の診断について言及したい.
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