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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅶ.血液・腫瘍性疾患
19.血球貪食性リンパ組織球症
hemophagocytic lymphohistiocytosis
大場 詩子
1
,
石村 匡崇
1
,
古賀 友紀
1
OBA Utako
1
,
ISHIMURA Masataka
1
,
KOGA Yuhki
1
1九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野
pp.928-932
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000677
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1 基本病因,発症機序
血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis:HLH)は,持続する発熱,汎血球減少,肝脾腫,播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC)および骨髄などでの血球貪食像を特徴とする全身性の炎症性疾患である。速やかに診断治療を開始しなければ多臓器不全から死にいたる重篤な疾患である1)。病態の中心は,細胞傷害性T細胞(cytotoxic T lymphocyte:CTL)およびマクロファージの異常活性化,それに伴う炎症性サイトカインの過剰産生である。免疫恒常性の破綻をきたす原因はさまざまであり,遺伝子異常を背景とする一次性HLHと,感染症,悪性腫瘍,自己免疫疾患など基礎疾患に続発する二次性HLHに大別される。日本におけるHLH発症数は年間約150例と推測され,そのうち半数以上が15歳以下の小児である2)。一次性HLHの70~80%は1歳未満の乳児期に発症し,年齢が高まるにつれてEBウイルス(Epstein-Barr virus:EBV)感染を中心とした感染症関連HLHの割合が増加する2)。
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