Japanese
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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅲ.神経疾患
42.先天性無痛無汗症
Congenital insensitivity to pain with anhidrosis
久保田 雅也
1
KUBOTA Masaya
1
1島田療育センター小児科
pp.447-451
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000592
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はじめに
先天性無痛無汗症(congenital insensitivity to pain with anhidrosis:CIPA)は,遺伝性感覚自律神経性ニューロパチー(hereditary sensory and autonomic neuropathy)4型(HSAN-4)に分類され,温・痛覚欠如,発汗障害,知的発達症を特徴とする常染色体潜性(劣性)遺伝の疾患である。これに対し,遺伝性感覚自律神経性ニューロパチー5型(HSAN-5)は温痛覚消失を主徴とするが,一般に発汗障害や知的障害を伴わず,ナトリウムチャネルsodium voltage-gated channel alpha subunit 9(SCN9A)遺伝子やまれにnerve growth factor(NGF)遺伝子に変異があり,先天性無痛症とよばれ,HSAN-4(CIPA)とは区別される。よってHSAN-4とHSAN-5は基本的には別の病態の疾患と考えてよいが,まれにオーバーラップする疾患としても報告されている。日本においてはHSAN-4(CIPA)の患者数は130~210人,有病率は60~95万人に1人,また年齢分布は5~40歳が多くを占めるが65~70歳の患者も認めている1, 2)。HSAN-5の患者数は30~60人とHSAN-4よりも少ない。CIPAは単なる温痛覚の障害と発汗障害の組み合わせから成り立つ疾患ではなく,全身が影響を受ける疾患であり,生体の生存にかかわる重大な障害として包括的にみていかなければならない3)。
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