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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅲ.神経疾患
1.神経疾患と遺伝子検索
Genetic analysis in neurological diseases
石井 敦士
1,2
ISHII Atsushi
1,2
1福岡山王病院小児科
2福岡国際医療福祉大学
pp.236-239
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000551
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はじめに
現代の小児神経疾患の診療において遺伝子診断は重要な診断手法となっている。遺伝性疾患のほとんどは希少疾患(わが国の患者数5万人未満と定義)であり,希少性を条件とする指定難病において神経疾患は80程度が知られている。これらは,患者数が少ないために診断が困難である。遺伝性希少神経疾患の多くは,染色体コピー数異常または単一遺伝子異常を原因とする。これらは,ゲノム解析の進歩により原因となる染色体領域や遺伝子が多数同定されており,遺伝学的検査による診断が可能となってきている。原因不明の知的発達症,先天性多発形態異常において,微細な染色体のコピー数の異常に起因することが多く報告されている1)。身体診察,血液・尿・髄液検査,画像検査による評価は,診察者の技術,多様な患者個体,評価時間により差異や変化を伴う。そのため典型的な症例を除いて,診断は確定的とはいえない。一方で,遺伝子診断はこういった差異や変化は認めず,病因遺伝子の異常の有無で評価可能であり,診断が確定的となる。小児慢性特定疾病,指定難病の診断基準に遺伝学的検査が含まれるものも存在する。保険適用疾患も増えており,2021年にはマイクロアレイ染色体検査(chromosomal microarray:CMA)が保険収載され,小児神経診療において遺伝学的検査を用いて診断する機会が増えている。
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