今月の臨床 胎児疾患の管理─胎内治療の時代を迎えて
胎児外科手術─今後の展望
脊髄髄膜瘤
夫 律子
1
,
夫 敬憲
2
1独立行政法人国立病院機構香川小児病院総合周産期母子医療センター産婦人科
2独立行政法人国立病院機構香川小児病院総合周産期母子医療センター脳神経外科
pp.1269-1273
発行日 2005年9月10日
Published Date 2005/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100396
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脊髄髄膜瘤とは
二分脊椎(spina bifida)といわれるなかには,開放性(顕在性)二分脊椎と潜在性二分脊椎がある.胎児期から出生後において通常「二分脊椎」と称されているのは開放性(顕在性)二分脊椎のことである.さらにこの開放性二分脊椎にもいくつかの分類がなされている.脊髄神経が脊柱管内にとどまっている髄膜瘤と異なり,脊髄髄膜瘤は,脊髄神経が脊柱管から外方に出ている状態である(図1).これまで胎児期における二分脊椎ということばが,開放性二分脊椎,あるいは脊髄髄膜瘤のことを指し示す用語として用いられてきていたが,誤解を避けるため,本稿ではすべて脊髄髄膜瘤という言葉を使用することとする.
脊髄髄膜瘤例のほとんどすべての例でキアリII型奇形がみられる.キアリII型奇形を図21, 2)に示す.神経管閉鎖不全が生じたために髄液が脊髄髄膜瘤から羊水中に流出し,頭蓋は縮小する.脳は成長するが頭蓋が縮小するため,そのしわ寄せが後頭蓋窩に生じ,大槽は消失し,小脳は下方へ落ち込む.さらに中脳水道や第4脳室は延長,狭窄を強いられ,そのために脳脊髄液の流出不良が起こり,二次的に脳室拡大,水頭症が生じる.
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