症例
骨髄転移をきたしたいわゆるⅡc+Ⅲ型早期胃癌
大柴 三郎
1
,
石岡 国春
1
,
上野 恒太郎
1
,
山岸 悟郎
1
,
望月 福治
1
,
北川 正伸
1
,
鮎沢 甞次郎
1
,
狩野 敦
1
,
久道 茂
1
,
八子 英器
1
,
吉田 弘一
2
,
須田 雍夫
2
1東北大学医学部山形内科
2東北大学医学部愼外科
pp.689-694
発行日 1967年5月25日
Published Date 1967/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200098
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Ⅰ.症例
患者:51歳,男子,公務員
家族歴:両親が脳出血で死亡している.
既往歴:昭和33年胃潰瘍の診断を受けているほか特別のものはない.
現病歴:上記した胃潰瘍といわれた頃から,空腹時胃心窩部痛があり,内服薬の投与を受けていた.昭和40年12月に胃集団検診を受け,間接胃X線上,前庭部大彎側の彎入,胃角部の辺縁の不整と同部に向う粘膜集中像と思われる所見(第1図)から胃潰瘍の疑いとして引続き胃カメラ検査を受け,胃角部,後壁の潰瘍を認め,悪性化を否定できないとして,さらに胃ファイバースコープによりⅡc+Ⅲ型の早期癌と診断され,同時に行なった細胞診でも,癌細胞陽性と判定されて入院をすすめられた.当時,胸やけ,曖気,悪心,嘔吐,下痢などはなく,食欲も良好で便通も正常であった.
入院時現症:栄養良,脈拍整,緊張良で撓骨動脈壁硬化,眼瞼結膜には貧血および黄疸はない.頸部リンパ腺およびウイルヒョウ腺を触知しない.胸部および腹部は理学的に異常がみとめられない.下肢に浮腫なく,膝蓋腱反射は正常で,運動および知覚障害もみとめられない.
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