特集 子ども虐待~命を救うために~
各論
【コラム】代理ミュンヒハウゼン症候群
松田 博雄
1
MATSUDA Hiroo
1
1子どもの虐待防止センター
pp.1890-1891
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000469
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はじめに
自分の体を傷つけたり病気を捏造し,多くの医療機関を受診して検査や治療を受ける「ミュンヒハウゼン症候群」に対して,わが子を自分の代理として行うことから代理ミュンヒハウゼン症候群(Munchausen syndrome by proxy:MSBP)とよばれる。「子どもの病気を心配する良き母親を演じることで自らの心の安定をはかるために,母親が周到かつ計画的に子どもを病人に仕立てる子ども虐待の一形式」であり1),くり返され,児が死亡することがある重度な虐待類型である。加害者はほとんどが母親であり,母親の精神疾患としてではなく,重度の子ども虐待として対応する。
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