特集 周産期医療のヒヤリ・ハット―医療事故・医療紛争を防ぐために 産科編
総論
(コラム)医事紛争を回避するには―原告代理人の相談から見えてきたもの
箕浦 茂樹
1,2
MINOURA Shigeki
1,2
1新宿区医師会区民健康センター
2国立国際医療研究センター病院産婦人科
pp.863-864
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000956
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はじめに
臨床に携わっているかぎり,患者から訴えられる事態に遭遇することは常にありうる。特に産科は,診療ガイドラインの整備,産科医療補償制度の創設などにより訴訟件数は確実に減少傾向にあるとはいえ,外科とともに訴訟が多い診療科であることは変わりがない。筆者はかつて裁判所より依頼された公的鑑定を10件以上引き受けた経験があるが,最近はもっぱら原告側(患者側)代理人からの相談を受けている。原告側から依頼されて作成したものは私的鑑定書であり,意見書とか鑑定意見書とよばれる。相談を受けた事案のうち意見書の作成の依頼まで引き受けるのは一部であり,単なるアドバイスのことも多い。アドバイスのなかには「この事案は訴えるのは難しい」と話をしたものも含まれる。本コラムでは,そのような相談を通じて見えてきた原告の思いから,どうしたら少しでも医師紛争を回避できるかについて私見を述べてみたい。
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