古典紹介
Richard Asher:Munchausen's Syndrome ミュンヒハウゼン症候群
加藤 佳彦
1
,
飯田 眞
1
Yoshihiko Kato
1
,
Shin Ihda
1
1新潟大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Niigata University School of Medicine
pp.543-551
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204713
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ほとんどの医者が出会っているにもかかわらず,それに関してほとんど記載されたことのないありふれた症候群についてここに述べる。この病気に冒された人は,あたかもあの有名なMunchausen男爵のように常に広範囲にわたっって旅行し,そしてその患者の話は男爵の話のようにドラマチックでありまた偽りでもある。それ故にこの症候群は男爵にちなんで名付けられ,彼に献呈されるものである。
この症候群の患者は,もっともらしくそして劇的な話を伴い,明らかな急性疾患により入院する。けれども普通この患者の話は大部分が虚偽で作り上げられており,更に彼が驚くほど多くの他の病院を訪れ,だましたかが明らかになる。そして彼はほとんどいつも医師と看護婦に激しく苦情を呈した後,助言に反して退院するのである。この状態にとりわけ特徴的な点は,非常に多数の腹部の瘢痕である。
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