特集 子ども虐待~命を救うために~
各論
【コラム】子ども虐待予防のためのSomLicペアレント・トレーニングの普及
田中 真衣
1
TANAKA Mai
1
1白梅学園大学子ども学部
pp.1892-1894
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000470
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
増え続ける子ども虐待を予防するための子育て家族支援の一つに,ペアレント・トレーニングがある。ペアレント・トレーニングとは,「環境調整や子どもの肯定的な働きかけを学び,保護者や養育者のかかわり方や心理的なストレスの改善,子どもの適切な行動の促進と不適切な行動の改善を目的としたプログラム」1)である。ペアレント・トレーニングは,1960年代米国にて応用行動分析学をベースとして開発され,問題行動がある子どもへの支援方法として活用されてきている。現在わが国では,海外から輸入されたプログラムが,発達障害児支援や子育て支援領域において実践されている。けれども,各地で多様な形式と内容のペアレント・トレーニングが実施され,それらの質の担保が問題視されたことから,2019年に厚生労働省障害者総合福祉推進事業2)にて,ペアレント・トレーニング開催にあたってのコアエレメントがまとめられた。「① 子どもの良いところを探し & ほめる」,「② 行動理解(ABC分析)」,「③ 環境調整(行動が起きる前の工夫)」,「④ 子どもの不適切な行動への対応」,「⑤ 子どもが達成しやすい指示」,「⑥ 子どもの行動の3つのタイプ分け」の6点である。筆者は2007年に「子育て家族支援SomLic」を創設し,ライフワーク活動として地域でペアレント・トレーニングの開催を行ってきている。本稿では,子ども虐待予防を目的としたSomLicペアレント・トレーニングの概要と普及の展望について述べる。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.