特集 成人患者における小児期発症慢性疾患
成人期における主な小児期発症疾患の病態・管理
先天代謝異常 Wilson病
清水 教一
1
SHIMIZU Norikazu
1
1東邦大学医療センター大橋病院小児科
pp.1627-1634
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000407
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はじめに
Wilson病は常染色体潜性遺伝形式をとる先天性銅代謝異常症の代表的疾患である。肝臓から胆汁中への銅の排泄障害が本症の病態の中心であり,肝細胞中に銅が蓄積し,肝障害が生じる。さらに肝臓から血液中に漏出した非セルロプラスミン結合銅は中枢神経,角膜あるいは腎臓などに蓄積し,それらの臓器障害をひき起こす。本症は進行性であり,無治療で放置された場合の予後は不良である。しかし,Wilson病は内服薬による薬物療法が確立されている数少ない先天代謝異常症の一つでもある。そのため小児期に発症して治療が行われ,成人期を迎えている患者も数多く存在する。
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