特集 成人患者における小児期発症慢性疾患
成人期における主な小児期発症疾患の病態・管理
先天代謝異常 糖原病
福田 冬季子
1
FUKUDA Tokiko
1
1浜松医科大学浜松成育医療学
pp.1622-1626
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000406
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はじめに
糖原病(表1)では,解糖系の酵素やトランスポーターの異常による代謝障害が生涯存在するため,一部の疾患を除いて,成人期には発症時から持続する症状や長期合併症がみられる。成長とともに多くの症例で空腹時低血糖,肝腫大が軽快する糖原病Ⅵ型(肝ホスホリラーゼ欠損症)とⅨ型(ホスホリラーゼキナーゼ欠損症)では,成人期には低血糖を予防する食事療法を中止可能な症例が多い1)が,糖原病Ⅰ型(Ⅰa型:グルコース-6-ホスファターゼ欠損症,Ⅰb型:グルコース-6-リン酸トランスロカーゼ欠損症)では,食事療法を継続する必要がある。とくに,糖原病Ⅰ型やⅢ型では,多臓器に長期合併症が出現する症例が少なくないため,成人期には多くの診療科の受診が必要となる。筋型糖原病では,筋力低下が進行する症例があるため,管理が必要となる。
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