特集 周産期の薬物療法 update 2025 産科編
各論:妊娠中の合併症
妊娠と抗てんかん薬
吉永 治美
1
YOSHINAGA Harumi
1
1南岡山医療センター小児神経科
pp.976-980
発行日 2025年8月10日
Published Date 2025/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri0000002258
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はじめに
てんかんは妊娠女性の合併症としてわれわれ医療者が考慮しなければならない精神・神経疾患の一つである。医療者は他の合併症と同様に,妊婦特有のホルモンバランスの変化や代謝の変化による投薬中の薬剤の薬物動態の変化,薬剤による胎児への影響を熟知し,さらにてんかん特有の症状,すなわちてんかん発作の増悪や発作による妊婦と胎児への影響に配慮しながら,より安全な治療を妊娠中も継続して提供することが重要である1)。わが国においてもすでに2007年には兼子らにより,てんかんをもつ妊娠可能年齢の女性に対する治療ガイドラインが日本てんかん学会から発表されている2)。しかしその後,数多くの新規抗てんかん薬についても情報が蓄積されてきた。

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