連載 これで患者さんに説明できる。精神科薬の“薬理学的リクツ”・4
「抗てんかん薬」と看護
姫井 昭男
1,2
1大阪医科大学神経精神医学教室
2大阪精神医学研究所新阿武山クリニック
pp.99-110
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100388
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入院患者は典型治療ではないので対応が難しくなっているはずです
「てんかん」は、すでに古代ギリシア時代には、その病態が1つの疾病として記述されていました。当時、急に起こる意識消失、痙攣、不随意な運動といった症状を見た人々は、それが“神の意によって起きた”と考え、「神聖病」と称していました。そのためでしょう。症状を治めるために祈祷や呪術が行なわれていたという記録が残っています。
現在は脳電気生理学や分子生物学の導入による脳機能の解明によりてんかんの原因が解明されてきていますが、それはたった80年ほど前からの話です。上記のように病因が不可解であった長い歴史をもつために、患者さんの多くは非常に偏見に満ちた扱いを受けていました。史書を紐解いてみると歴史上の偉人のなかにはてんかんであったであろうと思われる人も多く、てんかんは非常に一般的な病気で、しかもてんかんが原因で知能が障害されることはないことが証明されています。
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