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はじめに
現在,抗菌薬の過剰使用や不適切な使用により,耐性菌の増加が世界的な問題となっている。国内の新生児領域では,1980年代後半から始まったメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)の新生児集中治療室(NICU)内外での増加から問題が始まった。そのMRSAに対するバンコマイシンの使用増加によるバンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant Enterococci:VRE)の出現は,今日に至るまで監視が継続されている。長期の中心静脈カテーテルを留置する機会が多いNICUでは,カテーテル関連菌血症の起因菌であるコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase-negative Staphylococci:CNS)が問題となっており,その耐性化はさらなる脅威である。2000年代以降に,アジア・アフリカなどの国外を中心に増加したペニシリン系や第三世代セファロスポリン系薬に耐性を示す基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(extended spectrum β-lactamase:ESBL)産生菌やAmpC型β-ラクタマーゼ過剰(AmpC)産生菌,カルバペネム系薬に耐性を示すカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae:CRE)やカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(carbapenemase-producing Enterobacteriaceae:CPE)やメタロ-β-ラクタマーゼ(metallo-β-lactamase:MBL)産生菌などの多剤耐性グラム陰性菌は,国内でも感染制御における最重要菌種となっている。本稿では,2025年時点での新生児領域における多剤耐性菌について国内外の動向を詳述する。

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